プラネタリウムの製作

   

 手に入れやすい市販品は、このキットには含まれていません。別途購入品のリストを見て、購入してください。

 中学生くらいなら製作できる程度の物です。どちらかと言うと、作る事が目的のような物でして、居間に置いて、時々鑑賞するような用途に適しているかどうかは、かなり疑問です。
 パイプの切断など、途中、難しいところもありますが、大人が手伝えば小学生でも製作できる物だと思います。

 作例のまま作らずに改良をしたりする事で、夏休みの工作などにされてもいいかもしれません。

 作り方により、北緯28度より北の地点での星空を投影できます。
 北緯28度より南の位置を設定して製作しますと、南の地平線近くが少し投影されなくなってしまいます。
 添付の製作図では、北緯25度から45度までを5度刻みで作れるようにしてあります。緯度は固定になりますので、始めにどの場所で製作するか決めてください。
 

 恒星球には南天の今回使わない部分を含め、6.5等星より明るい星、約9000個をプロットしてありますが、このサイズの恒星球ですと、すべて投影させると、星像が大きいため、ちょっとうるさく感じられるかもしれません。
 想定しているドーム直径は3mくらいです。もちろん、住宅の天井に投影する事もできます。家では、壁2面と天井の計3面を使って投影してみましたが、星座の学習にもなんとか使える範囲が投影できました。

 本来なら、恒星球の直径を倍くらいにすれば、かなりきれいな星空が見られるはずなのですが、規模が大きくなってしまい、厚い紙に直接プロットする事もできず、製作が大変だろうということでこのサイズになっています。本来作りたい大きさの1/2くらいの大きさになっていることをご理解ください。

 このプラネタリウムの原型は、2004年の小学4年生の夏休みの工作として作りました。はじめは簡単に考えていたのですが、だんだん親子で深みにはまり、6.0等星まで約5000個の星を、キットと同じ25cmの恒星球で投影するところまで行きました。
 科学作品の教材分野として出品し、賞をいただいて、親としてちょっと後ろめたさがありましたが、小学生の夏休みの工作っていうのは、親が手伝うためにあると勝手に理解しておく事にしました。

 もっと大きなサイズでトライしてみたいという方はご連絡ください。コピー用紙くらいの薄い紙ですが、恒星球直径45cmまでの大きさならプリントアウトする事ができます。この型紙を使用して45cmのものを高校生の文化祭の展示用に作ってもらったことがあるのですが、かなりきれいに投影されたと聞きました。

内容物
名称 数量
恒星球型紙 4枚
型紙、構成図など 4枚
ベニヤ板 1枚
電球用ソケット 1個
針(2.0、1.5、1.0、0.7、0.5、0.3) 各1本
ナベ小ネジ M3x10mm 3本
サラ小ネジ M3x15mm 3本
ナット M3 6個
ワッシャ M3用 3個

別途購入品
参考価格は、近くのホームセンターと100円ショップでのものです。
名称 数量 参考単価 価格 備考
イレクターパイプ 黒 900mm 1 270 270  
イレクタージョイント J-12B 黒 1 170 170
中にパイプが通せないJ-12Aもあるので注意
イレクタージョイント J-49 黒 3 30 90
イレクタージョイント J-103 黒 2 60 120
イレクタージョイント J-46 黒 1 50 50
イレクタージョイント J-131 ベージュ 1 90 90
黒が無いようです
イレクター接着液 アクリサンデー 30ml 1 200 200  
スプレー塗料 ラッカー系
つや消し黒 300ml
1 198 198  
ミニマグ用電球 2Sell AA/AAA
2個入り
1 298 298
スイッチ付き単三2本用電池ボックス 1 195 195
単三乾電池 2 105 105 100円ショップ(4本)
木工ボンド 速乾タイプ 50g入り 1 98 98  
瞬間接着剤 1 105 105 100円ショップ
エポキシ系接着剤 1 105 105 100円ショップ
合成ゴム系接着剤 1 105 105 100円ショップ
セロハンテープ 1 105 105 100円ショップ
         
合計     2,304  

必要工具
カッターナイフ(Lタイプがよい)  
はさみ  
ピンバイス
3mmドリル  
金鋸  

あると便利な工具
パイプカッター  

 
 

1.ベニヤの加工
 

 2.5mmベニヤ用型紙と同じ形にカッターナイフでベニヤを切り抜きます。コンパスがあれば、ベニヤに書き写すようにした方が加工が楽です。

 塗装された面から、はじめはあまり力をいれずに切り込みを入れ、2〜3周くらいから力をいれて切るようにします。

 切り出したら3mmの穴を指示されている場所に開けます。

 回転板と恒星球板の外周の3つの穴は、木目が出ている面を合わせるようにして重ねて穴あけをします。

 このとき、どこで穴同士があっているかわかるように、合いマークを両方の板の白い面につけておきます。

 ランプ台座は木目の面の中心が塗装後もわかるように、穴を開けておきます。ここがランプの位置になります。

2.塗装
 

 恒星球型紙の裏面と、ベニヤの木目の面をつや消し黒のラッカースプレーで塗装します。

 白い面は塗装しても塗料がはがれてしまうため、木目の面だけ塗装します。白い面は外面に出ますので、内面反射の影響はありません。

 恒星球型紙を古新聞などいらない台紙にセロテープか両面テープで4隅を貼り付け、塗装します。

 何回も塗装するため、1枚に対して1枚の台紙を用意した方が手も汚れずに楽ができます。

 はじめからたっぷり吹き付けると、表に染みてしまいますので、はじめの2回くらいは軽く吹き付け、染みこまなくなってからしっかりと吹き付けてください。
 地平ブラインドは裏面を塗装後、切り抜いてから表も塗装します。

 4枚x4回とベニヤの部品に2回塗装して300mlのスプレー缶がちょうど終わるくらいでした。


 

3.恒星球の組み立て
 

 恒星球型紙を切り出します。いちばん南天の丸い所は、製作には使いません。南天の星空を再現する場合には、これを使って工夫してください。

 のりしろの部分の細かな切り込みは、V字ではなく小文字のyのようになっています。
 これはV字にカットすると、組み立てた時にVの先がぴったり合わなく、穴が開いてしまうためで、y字にする事によって無理に縮められて穴ができなくなるようになっています。

 もし穴があいてしまった場合には木工ボンドをつけて塞ぎ、黒マジックなどで塗りつぶしてください。

 折り曲げるのりしろの部分は、先に先の丸まった鉄筆のような物で痕をつけておくと楽に曲げられます。出なくなったボールペンなどが利用できます。

 切り込みのないのりしろは折り曲げませんので、痕をつけないようにしてください。切り込みのあるのりしろは基本的に山折ですが、南側の扇形の切り込みのあるのりしろだけは、山折ではなく谷折ですので注意してください。

 組み立ての順番は、まず赤道部分2枚を使って円筒形になるように木工ボンドを使って組み立ててください。違う形になることはないと思いますが印刷されている赤経の表記を見て組み立ててください。接着するとき、セロテープで表から止めると作業が楽です。ただし、穴あけの際にちょっと開けづらくなりますので、使用量は少なめにしたほうがよさそうです。

 次に中間緯度のどんぶり形を組み立てます。まだ、天の北極ちかくの円形の型紙は接着しません。

 どんぶり形を赤道近くの円筒に接着します。円筒部の曲げたのりしろにてんてん・・・とボンドを付けていき、南北が合っているか、0Hや12Hなどと書かれた赤経が合っているかに注意して、片側ずつ貼っていきます。ここでもセロテープが活躍します。

 貼り終えたあとは、平らなところに置き、中に手を入れて、のりしろ部分が浮かないようにしっかりと押さえつけます。のりしろが浮いていると、穴をあけたときに光が出てこなくなる場合があります。

 南北両方のどんぶりを接着したら、天の北極近くの円形を接着します。ここも折り曲げたのりしろにボンドを付け、南北、赤経に気をつけて接着します。

 画像にはテストに使ったセメダインが写っていますが、塗装された面には使えませんでした。木工ボンドを使ってください。


 恒星球板の外周の穴にナベ小ネジを挿し、抜けないようにネジの頭の方から瞬間接着剤で接着します。

 画像では塗装してしまったため黒い面から挿していますが、白い面から挿し込みます。画像のネジはキットのネジとはちょっと違いますが、同じように接着してください。


 恒星球の南側ののりしろは外側に折ります。白い面に接着しますが、のりしろがネジの頭にかかってしまう場所は、あらかじめ少し切り取っておくようにします。画像では0時、8時、16時の位置ののりしろを両側少しずつ切り取っています。


 のりしろに接着剤をつけて、恒星球板の大きな穴が、恒星球の開口にぴったり会うように恒星球板を接着します。ここでもセロテープを使いますが、ここは後ではがすので接着されないように注意してください。

 指を使ってのりしろ部分を押さえるには、ちょっと狭いです。画像のように定規を使って押さえるとうまく押さえられます。

4.フレームの組み立て
 まず、パイプを切り出します。2本の足の長さは160mm、中心の極軸パイプは緯度によって違いますので脚部図を見てください。

 まっすぐ切るのには金鋸よりパイプカッターが楽です。安い物なら500円くらいで買えるようですので、使うことをお勧めします。ジョイント部分は、差し込んでパイプの端に当たってまっすぐになるような構造ですので、パイプカッターできれいに切ったほうが組立作業も楽になります。


 極軸パイプの先端は斜めに切ります。

 まず、極軸パイプ切断用型紙を、自分の作ろうとしている緯度のところで切り出しておきます。

 長さを測り、先端にくる部分にマジックなどで印をつけたら、型紙の先端をぴったりあわせてパイプに巻きつけ、マジックなどで切断部分をパイプに書き込みます。

 あとは金鋸で書き込んだ線を頼りに切っていきます。ちょっとたいへんな作業ですががんばってください。

 切り終わった極軸パイプにイレクタージョイントのJ-12Bがくる場所に印を付けておきます。位置は脚部図を見てください。

 イレクタージョイントJ-49の1個に3mmの穴をあけます。場所は底の部分で開けやすいところならどこでもOKです。このJ-49は極軸パイプの足のキャップになり、配線の通る穴になります。
 全体構造図を見て仮組みします。

 この時、極軸パイプにさきほど書き込んだ印を目安にし、先端の斜めの部分が床面と平行になっているか注意してください。板などを切り口に乗せてみるとよくわかります。

 問題がなければイレクター接着剤で接着してください。この時、極軸パイプのキャップは接着しないでください。してしまうと配線を通すのがたいへんになってしまいます。



 イレクタージョイントJ-103の底を2個とも抜きます。

 抜くために溝が入っていますので、そこをカッターで少しずつ切り込んでいきます。

 少し切り込んだら、周囲の溝に3mmのドリルで穴を開け、そこにドライバーや細いラジオペンチなどを突っ込んでこじると抜き取る事ができます。

 回転板に底を抜いたイレクタージョイントJ-103を取り付けます。

 回転板を挟み込むようにJ-103をあわせ、サラ小ネジで固定します。このとき、あまったパイプを通して作業するとぴったりとめることができます。ワッシャは使用しません。

 接着した脚部が十分乾燥したら、回転板を差し込みます。白い部分が下(恒星球から見て外側)になるようにします。

 回転板の抜け止めのためににイレクタージョイントJ-131を挿し込み、付属のネジをつかって固定します。回転板が軽く回る位置に止めてください。

 ベニヤから切り出したランプ台座に、パイプへの取り付け位置を書き込みます。

 「ランプ台座の取り付け位置」を切り出して、ランプ台座の白い面にあわせ、パイプがくる位置を書き写してください。

 前に切り出して黒く塗った地平ブラインドを、ランプ台座の黒く塗った面に接着します。木工ボンドでかまいません。



 ミニマグライトの電球を電球ソケットに差し込みます。

 電球の足をソケットの間隔にあわせて曲げてください。

 その後、ソケットに挿した足を90度曲げます。このときに、ソケットの接着面から電球の中のフィラメントの高さが、地平ブラインドの高さになるように合わせて曲げてください。

 電球ソケットについているコードをランプ台座の脇の穴に黒い面から通します。

 ランプ台座をエポキシ接着剤でランプ台座に接着します。このとき、ランプ台座中心の穴の真上にランプがくるようにします。


 ランプ台座の下から出ているコードを極軸パイプの先端から下に抜きます。

 このとき、足につけたキャップを一度はずし、キャップに開けた穴を通して外に出してください。

 この後、キャップを接着するのが不安でしたら、パイプにセロテープを数周巻くと、抜けにくくなります。


 この状態で極軸パイプ先端にランプ台座をエポキシ接着剤で接着します。

 先ほど書き写したパイプの形に合わせて接着します。ここを接着すると回転板が外せなくなりますので、十分チェックしてください。



 極軸パイプの足の方にイレクタージョイントJ-46をはめ込みます。

 この上に電池ボックスを取り付けますが、電池ボックスの形状によって、接着かネジ止めかなど工夫してください。作例ではスイッチ面と電池のふたの面が逆なので、取り外せるように輪ゴムで止めてあるだけです。

電池ボックスとソケットからでているコードを接続してください。コード同士を繋いだ場合は、セロテープなどで絶縁してください。





 目盛りの型紙を切り取り、接着剤で脚部に貼り付けます。

 まず、時間目盛りを脚部のイレクタージョイントJ-12Bのほうに、0時がだいたい上になるように貼り付けます。

 次に、取り付け部につけた合いマークを合わせて恒星球を取り付け、赤経の12Hが真上にくるように回転させておきます。天の北極側から見て、おもりを付けて垂らした糸や、柱など垂直な物に経線合わせて遠くから見るとわかりやすいです。

 この状態のまま、先ほど貼り付けた時間目盛りの0時に、3月20日あたりがくるように回転板側のイレクタージョイントJ-103に接着します。合成ゴム系接着剤が適していると思います。

 これで脚部は完成です。恒星球がちゃんとセットできるか、電球がつくかをチェックしてください。

5.恒星球の穴あけ
 付属の針を使って、恒星球に穴を開けていきます。ここでは6等星を0.3mmの穴であけ、1等星を2mmの穴であけることとして進めていきます。5等星まででいいという場合や、他の手段で穴を開けられる方は参考程度に読んでください。

 穴あけは大きい穴から開けていきます。マークと等級、穴径は下の表の通りです。
 
 
マーク
等級
穴径
〜1.5
2.0
1.5〜2.5
1.5
2.5〜3.5
1.0
3.5〜4.5
0.7
×
4.5〜5.5
0.5
5.5〜6.5
0.3

 

 やみくもに穴を開けていくと、どこに穴を開けたかどうかわからなくなってしまいますので、大きく分けて北極の平面、北側のどんぶり状の面、赤道近くの円筒面、南側のどんぶり状面というふうに順に開けていきます。

 各面は、赤経0Hから順に開けていくようにします。また、同じ赤経でも、順に北側から開けていくようにします。

 穴をあける方向は、常に面に垂直な方向というわけではなく、恒星球の中心に向けて空けるようにしてください。大きな穴ではあまり問題になりませんが、小さな穴ですと、中心の電球に向けてあいていないと、光線が遮られる事があります。

 2.0や1.5の針は、そのまま手で持って使う事もできますが、細い針はピンバイスに取り付けて使うようにしてください。

 特に0.3mmの針は曲がりやすく、ピンバイスの先に数ミリ出すだけにしないと、すぐに曲がってしまいます。

 のりしろの部分など穴が開けづらいですので、十分注意してください。


 2.0mmの穴は、けばだちを押さえるため、穴あけ後、針にほんの少し木工用ボンドを付けて穴に通しておくと、毛羽立たなくなり、投影したときに星像が丸く投影できます。
 1等星はかなり大きい星像ですから、毛羽立ちがあると目立つ事があります。

 穴を開けたら、恒星球の裏を触らないようにしてください。手で触ることによって、穴の返りが倒れてしまい、塞がってしまう事があります。

 恒星球板に近い部分で穴を開けづらい場所は、開けなくてもかまいません。開けても恒星球板に遮られてしまい、星像が投影されない部分になります。


 穴があいているかどうかがわからなくなるので、小さな懐中電灯にティッシュを被せた物を用意すると確認しやすくなります。

 懐中電灯をつけて恒星球の中に差し込むと、穴があいているかどうかがわかりやすくなります。ティッシュを被せるのは、広い光源でないと、広範囲が確認できないために拡散させる意味があります。

 また、脚部のランプ部にティッシュを被せて使ってもいいのですが、電球の寿命があまり長くないので、ちょっともったいない気がします。

   0.5mmまで開け終わったら、一度投影してみるといいでしょう。0.3mmまであけるかどうかをここで決めるのもいいかもしれません。

 実際に投影した場合、6等星の明るさは、真っ暗な場所でも見えるかどうかのスレスレの明るさです。ここまでで開けた穴の数は約2500個程度です。6等星は今回使わない南極近くを除いても5000個以上ありますので、かなり気合が必要になってきます。

6.恒星球の取り付けと投影など

 恒星球を合いマークに合わせて取り付け、部屋を真っ暗にし、電球を点灯してください。
 しばらくすると天井や壁に投影された星像が見えてくるはずです。
 日付け目盛りを時間目盛りに合わせれば、その時の星空が再現されます。

 25cmの恒星球で6等星までの再現をしようとすると、1等星がかなり大きく投影されてしまいますが、これくらいが限界と思ってください。壁や天井などから恒星球が1.5mくらい離れていると、一番見やすい状態になると思います。部屋の隅などを利用すると、かなりの広さを投影することができます。もちろん、いちばんよいのはドームで投影することなのですけど、
なかなか作れる物ではないので・・・

 観賞用としてはあまりにお粗末で、作る事が目的のような物なのですが、できあがって投影したときはかなりの達成感がありました。親子で作った事もその一因だったと思います。

 用意していただいたミニマグライトの電球は、かなり寿命が短いです。配光特性がよく、フィラメントが小さいので使ったのですが、切れる前に内部が銀色になってきてしまいます。これは消耗品だと思ってください。他メーカーの同等品でも使うことはできますが、配光特性がよいものが見つからず、ポピュラーなミニマグライトのものを利用しました。

 製作しての不明点などは、下記の掲示板でご質問ください。
http://jbbs.livedoor.jp/sports/23610/
 できる限り対応いたします。また、他の方が書き込まれていることなどがあるかもしれませんので、参考になるかもしれません。

kazz@thn.ne.jp
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